青眼と僕と冒険と

僕とブルーアイズが歩いた軌跡のお裾分け

第四章

魔神儀は手札にある儀式モンスターや儀式魔法との組み合わせで効果を発揮するカードたちです。

例えば、『魔神儀-タリスマンドラ』は手札に存在する儀式モンスターを相手に公開することで効果を発揮します。

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魔神儀-タリスマンドラ

つまり、彼らの能力をフルに活かすには、なるべく儀式関連以外のカードをデッキに入れないほうが良いのです。

タリスマンドラ一匹だけでは、効果を発揮することができず、手札のなかで燻ってしまうのです。

こういった状況を恐れた私はできるだけ儀式関連でデッキを組みました。

一時期は『青眼の白龍』の枚数を2枚にしたほどです。

 

不必要なものを削ぎ落し削ぎ落し。

そしてだんだんとカタチになる儀式青眼デッキ。

手札事故の確率も徐々に減ってきました。

色んな人と戦いました。

旧友は勿論、カードショップで遊んでいる人たちに野試合を挑みました。

青眼の白龍の枚数を3枚に戻したり、儀式魔法カードの枚数を調整したり。

調整に調整を重ねながら決闘を繰り返しました。

 

あるひとつの事実に目を背けながら。

 

『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』

相も変わらずよく手札に来てくれました。

まるで自身の存在を示すように。

「ここにいるよ」

それは悲痛な叫び。

「私を使って」

「私と戦って」

 

しかし彼女は儀式モンスターではないのです。

彼女が手札に来る度に手札事故を起こしていました。

そして彼女を使うこともなく決闘は終わります。

手札事故。

私が最も恐れるもの。

相手に成す術もなく倒されるデッキ。

嫌だ。

負けたくない。

何もせずに終わりたくない。

もっと強さを見せつけたい。

負けたくない。

そんな感情ばかりが大きくなりました。

それに支配されるあまり、私はついに自覚してしまったのです。

憎しみ。

それは憎しみでした。

『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』を見る度に思ってしまうのでした。

これがカオスMAXだったら…

これが高等儀式術だったら…

なんでお前なんだ?

なんで出せもしないお前が来るんだ。

いい加減にしてくれ。

 

ある決闘で何もできずに敗北した私は、手札にある彼女の姿を睨みつけ、そしてついに彼女をデッキから外すことを決意したのでした。

 

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魔神儀-カリスライム

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魔神儀の祝誕

2018年10月13日に彼らは生まれました。

『魔神儀-カリスライム』そして『魔神儀の祝誕』

この2枚は魔神儀の弱点を補うカードたちです。

今までは魔神儀の効果を使うために儀式関連カードを手札に用意しなければいけませんでした。

しかし『魔神儀-カリスライム』はたった一枚で魔神儀の能力を活かすことのできるカードです。そして『魔神儀の祝誕』は、効果こそ難しいですが、使いこなすことができれば手札を減らすことなくボードアドバンテージを稼ぐことのできる優秀なカードです。

これらの新規カードの存在により、儀式を主軸にするデッキは異常なまでの安定さを誇るようになりました。

儀式青眼も例外ではなく、その力をフルに活かした後攻ワンターンキルを幾度となく行いました。

私は楽しかった。

自分が最強であるかのような、そんな心地よい気持ちになったのです。

ただ楽しかった。

愉しかった。

 

「もう負けでいいです」

 

野試合にて戦ったお相手に冷たく言い放たれるまでは。