青眼と僕と冒険と

僕とブルーアイズが歩いた軌跡のお裾分け

第五章

『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』をデッキから外した時のことです。

 

私は少し晴れやかな心持ちになりました。

「もう手札事故に悩まなくていい」

 

そして同時に恐ろしくもなりました。

「オレは簡単に切り捨てられるのか」

 

さらに失望しました。

「オレはやはり変わらないのか」

 

絶望しました。

「また同じことを繰り返すのか」

 

しかし、そんな不安を一蹴するかのように、当時お付き合いしていた彼女は私を赦してくれたのです。

笑ってくれたのです。

 

そしてその日が訪れます。

「もう負けでいいです」

その時のお相手の表情は、今でも忘れることができません。

私は相手を傷つけるために戦ったのか。

自分だけが楽しければそれでいいのか。

自問自答を繰り返しました。

自分だけが勝って楽しいのか

違う。

自分だけが楽しかったって意味はない。

そう。

決闘は、相手がいて初めて成立するもの。

そう。

オレは何故、遊戯王を始めた。

或るカードから大切な何かを学ぶため。

オレは何故、そのカードから学ぼうとした。

もう二度と、誰かを傷つけたくないから。

オレはどうなりたかった。

優しい人間になりたい。

あの日に出逢った、あのカードのように。

優しい存在になりたい。

誰も傷つけない、優しい存在でありたい。

そう。

お前だ。

お前とともに戦うと、決めたはずではなかったか。

『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』

そうだ。お前を活かすデッキを作ろう。

お前と戦うデッキを作ろう。

そうすればきっと。

きっと今、私の傍にいる一人の女性を傷つけない、優しい存在になれる。

一から作ろう。

 

私はディープアイズを活かすためのデッキを作ることを決意します。

 

二つめの青眼の白龍デッキが芽生えようとしていました。