『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』をデッキから外した時のことです。
私は少し晴れやかな心持ちになりました。
「もう手札事故に悩まなくていい」
そして同時に恐ろしくもなりました。
「オレは簡単に切り捨てられるのか」
さらに失望しました。
「オレはやはり変わらないのか」
絶望しました。
「また同じことを繰り返すのか」
しかし、そんな不安を一蹴するかのように、当時お付き合いしていた彼女は私を赦してくれたのです。
笑ってくれたのです。
そしてその日が訪れます。
「もう負けでいいです」
その時のお相手の表情は、今でも忘れることができません。
私は相手を傷つけるために戦ったのか。
自分だけが楽しければそれでいいのか。
自問自答を繰り返しました。
自分だけが勝って楽しいのか
違う。
自分だけが楽しかったって意味はない。
そう。
決闘は、相手がいて初めて成立するもの。
そう。
オレは何故、遊戯王を始めた。
或るカードから大切な何かを学ぶため。
オレは何故、そのカードから学ぼうとした。
もう二度と、誰かを傷つけたくないから。
オレはどうなりたかった。
優しい人間になりたい。
あの日に出逢った、あのカードのように。
優しい存在になりたい。
誰も傷つけない、優しい存在でありたい。
そう。
お前だ。
お前とともに戦うと、決めたはずではなかったか。
『ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン』
そうだ。お前を活かすデッキを作ろう。
お前と戦うデッキを作ろう。
そうすればきっと。
きっと今、私の傍にいる一人の女性を傷つけない、優しい存在になれる。
一から作ろう。
私はディープアイズを活かすためのデッキを作ることを決意します。
二つめの青眼の白龍デッキが芽生えようとしていました。